「あまなり」に込められた想い 第2回部は「あまなり」で使用する食器やインテリアについてをお届けします。
ネストアット奄美ビーチヴィラ内にありますレストラン「あまなり」の目指す空間とは、フォークアートとも言える世界の民芸品やモダンアートとも言える現代の奄美の作家による器を“奄美”という共通のキーワードで表現した空間です。誰もが毎日囲む食卓だからこそ、旅先での食卓を目で楽しみ、器の温もりに触れ、味わいや香りを、そして波音や島唄に時折耳を傾けて、奄美大島を五感で感じていただける食体験を提案しています。
“奄美”がテーマなのにどうして世界の民芸品なのか。
答えは、奄美の位置する地形や歴史にあります。
奄美には日本史には書かれていないけれども、アジア諸国や近隣の国々と海を通じで交流をしていたことがわかってきました。奄美大島は3000年以上前の縄文時代から土器文化をベースにしていますが、近年、宇宿貝塚などで発掘された様々な近隣の国と思われる器や品々などが見つかる事実により、今もなお謎の多かった奄美大島が解明され続けています。
関連のある国々の多くは、黒潮の流れにのりたどり着いた船によるもので、その船の行き来を通じて島の外にある文化が開国よりも前から実に多く伝わってきていたことがわかります。いまでこそ鹿児島県の離島としての認識ですが、近隣アジアとは本土よりも近い地形もあり、琉球王国、博多商人や長崎商人、薩摩藩などのやりとりの他に、中国、台湾、韓国、ペルシャ、ポルトガルなど実に様々な国々と黒潮の海の流れを通じて物々交換を独自にしていたことがわかってきました。奄美大島では、古くから取れる夜光貝やソテツの葉などと外国の品々を交換していたようです。
ネストアット奄美ビーチヴィラは、奄美大島の歴史背景とその背景から育まれた文化や「はざま」を表現した建築空間のみならず、レストラン「あまなり」でのインテリアや食器などでも国境にある奄美の地理や民芸の営みを感じていただける食卓空間にいたしました。特にコースでお届けするディナーテーブルでは、シェフの作り出す食のストーリーのみならず、小話も交えてお届けしています。ぜひご堪能くださいませ。
さて、最後にお届けする「あまなり」に込められた想い3では、奄美大島にあるホテルで初めて取組んだシマの手仕事により生まれるものづくりの発展を支援する活動についてをお届けします。 レストランやホテルとして、実際に訪れたお客様にシマの製品をご使用いただく機会を提供できるからこそ伝えられる手仕事の良さを伝える活動についてです。お楽しみに。